不動産売却中の空き家管理ガイド|劣化を防ぐ換気と近隣トラブル
「売却中の空き家は、具体的に何をどの頻度で管理すればいいのかな?」
「手入れ不足で家が傷んだり、近隣トラブルになったりしないかな?」
と不安を感じる方は少なくありません。
本記事では、資産価値を守るために最低限必要な換気や通水のポイントから、効率的な残置物整理の進め方までを分かりやすく解説します。
この記事を読めば、やるべき管理作業の優先順位が明確になり、トラブルを未然に防ぎながら安心して売却活動を進められるようになります。
全体像から整理するなら、売却活動の成否を左右しやすいので、媒介契約の違いを押さえてから進めると判断がブレにくくなります。
「不動産売却で失敗しない不動産会社選びと媒介契約の完全ガイド」
売却中に管理が必要になる理由

売却活動中も、内覧に備えて建物の状態を保つための管理が必要です。内覧時にカビ臭かったり汚れが目立ったりすると、購入希望者の購入意欲を下げてしまうからです。
「この家は大切に扱われてきた」という安心感は、購入を決断する大きな後押しになります。適切な管理を行うことは、建物の劣化を防ぐだけでなく、スムーズな成約につなげるための重要な準備といえます。
参照候補:国土交通省の啓発資料「空き家管理の注意喚起」
空き家は気づかない間に傷みやすい
人が住んでいない家は空気が滞りやすく、室内環境の悪化が起きやすくなります。普段の生活で無意識に行っているドアの開閉や換気がなくなるため、窓を閉め切った状態が続くと室内に湿気がこもってしまいます。
特に梅雨時や夏場は、壁紙の裏や押し入れで結露が発生し、カビの温床になりやすいため注意が必要です。
定期的に窓を開けて通風を行わないと、カビの繁殖や木材の腐食が進み、建物の寿命を縮める原因になります。
また、水回りの設備も使わないことで傷みやすくなります。
長期間水道を使わないと、排水口の奥で下水の臭いをブロックしている水(封水)が蒸発してしまうことが原因です。
下水からの異臭が室内に充満したり、配管から害虫が室内に侵入したりするのを防ぐため、定期的な通水作業も欠かせません。
建物の品質を保つために、売主自身や管理会社による週に一度程度の空気の入れ替えと水回りの確認を行うと更に効果的でしょう。
居住中でも片付けと掃除が必要になる
住みながら売却活動を行う場合でも、購入希望者を迎える準備として室内の整理整頓が欠かせません。
生活感が出すぎていると、購入希望者が自分たちの新生活をイメージしづらくなり、購入意欲が下がる原因になります。
個人の趣味の物や家族写真はなるべく収納し、モデルルームのようなすっきりとした空間を意識しましょう。
特に玄関や水回り(キッチン、浴室、洗面所)の清掃を徹底し、清潔感を保つことが大切です。
水垢やカビ汚れは目立ちやすいため、念入りに磨いておくと好印象につながります。
また、ポストにチラシが溢れていると管理が行き届いていない印象を与えるため、こまめに回収しておくのも印象を良くする一つのポイントです。
不要な荷物を減らして床面積を広く見せると、部屋の魅力が伝わりやすくなります。内覧の予約が入る前に、目に見える場所だけでも片付けておきましょう。
管理不足で売却スケジュールがずれやすい
管理が行き届いていない物件は、契約直前になって思わぬ不具合が見つかるケースが少なくありません。
例えば、給湯器などの設備の故障や、天井の雨漏りの跡が発覚すると、引き渡し前に急いで補修工事を行う必要があります。
不具合を隠して売却すると契約後のトラブルになるため、事前の対処が不可欠です。
修理会社への見積依頼や工事の手配に時間がかかると、予定していた引き渡し日に間に合わず、売却スケジュール全体が遅れてしまいます。
最悪の場合、購入希望者からの信用を失い、契約自体が白紙になるリスクもあります。
スムーズな取引を進めるために、売却期間中も定期的に建物の状態を確認し、小さな不具合のうちに対処しておくのが無難でしょう。
早期に発見できれば、修繕費用も最小限に抑えられ、安心して買主に引き渡すことができます。
売却中に最低限必要な3つの管理ポイント
売却期間中の管理をすべて完璧に行うのは難しいですが、建物の価値を守るために優先した方が良い作業があります。
遠方に住んでいる場合や忙しい場合でも、ポイントを絞れば効率的に維持管理が可能です。
特に劣化が進みやすい水回りと、外観の印象を左右する外回りは、意識して手入れを行うことが大切です。
売主が無理なく続けられる範囲で、優先度が高い「換気・通水」「雨漏り・カビの兆候確認」「外回りの手入れ」の3つのポイントを解説します。
参照候補:国土交通省の啓発資料「空き家管理の注意喚起」
ポイント1
換気と通水空き家の室内環境を保つため、週に一度程度を目安に窓を開けて空気の入れ替えを行ってください。
対角線上の窓を開けると風の通り道ができ、効率よく換気ができます。
湿気がこもりやすい押し入れやクローゼット、靴箱の扉も開放し、風を通すことでカビの発生を抑制します。
同時に、すべての蛇口で数十秒ほど水を出し、錆の防止と配管内の洗浄を行います。
特にトイレやキッチンの排水口は、水が枯れると下水の臭いが上がってくるため、定期的な通水が必要です。
トイレは水を流すだけでなく、タンク内の水も入れ替わるように数回流すとより効果的です。
冬場は地域によって凍結対策も必要です。
給湯器の凍結防止設定や水抜き手順は機種で異なるため、取扱説明書に沿って対応します。判断が難しい場合は、設備会社や管理代行に確認して代行してもらうのも一つの手段です。
ポイント2
雨漏りを放置すると、柱や梁など構造部の劣化につながり、補修範囲が広がりやすくなります。
結果として、修繕費が増えたり、内覧時に敬遠されたりする要因になります。
雨漏りを見つけるポイントとしては、天井や壁に新たなシミができていないか、クロスが浮いていないかを目視で確認します。
特に2階の天井や窓枠の周りは雨水が浸入しやすい箇所なので、注意深く見る必要があります。
また、湿気が溜まりやすい北側の部屋や洗面所は、結露やカビが発生していないかもチェックします。
もしカビを見つけた場合は、放置せずにすぐに拭き取り、アルコールなどで除菌して広がりを防ぐことが大切です。
壁紙の裏までカビが浸透してしまうと、張り替えが必要になり費用がかさんでしまいます。
早期発見ができれば、簡単な補修で済むケースが多く、修繕費用を最小限に抑えられます。
ポイント3

外回りの手入れ建物の外観は購入希望者の第一印象を決定づけるため、荒れた印象を与えない工夫が必要です。
庭木が伸び放題になっていたり、雑草が生い茂っていたりすると、管理されていない空き家として敬遠される原因になります。
また、落葉が溜まっていると、害虫の発生源になったり、乾燥した時期に近隣で火災が起きた際、燃え広がる原因になる危険性もあります。
さらに、雨どいに落ち葉が詰まると、雨水が溢れて外壁を汚したり、基礎部分を傷めたりするリスクが高まります。
定期的に敷地内を見回り、雑草取りや掃き掃除を行うことで、清潔感を維持すると良いでしょう。
遠方で対応が難しい場合は、シルバー人材センターや不動産会社、専門業者による管理代行サービスの利用も検討しましょう。
残置物整理の考え方と進め方

売却活動で多くの売主が悩むのが、室内に残された家具や日用品などの残置物整理です。
長年住んだ家には想像以上の物が溢れており、全てを一度に片付けようとすると身体的・精神的な負担が大きくなります。
費用を抑えつつ、引渡しまでに確実に完了させるための効率的な手順を見ていきましょう。
参照候補:経済産業省「家電リサイクル法の処分方法の案内」
残置物がある場合は、処分費用と売却条件の整理が先決です。進め方の全体像を確認しておくと安心です。
千葉県の実家をそのまま売却!残置物処分費用と買取条件と進め方
引渡し条件に合わせて仕分ける
不動産売却では、建物を残して引き渡す場合でも、室内の動産は撤去して空の状態にするのが一般的です。
建物を解体して更地で引き渡す場合は、解体前に室内の残置物を整理する必要があります。
しかし、新しいエアコンや照明器具、カーテンなどは、購入希望者が「そのまま使いたい」と希望すれば残せる場合があります。
これを「付帯設備」として引き継ぐことで、処分費用を抑えられます。
自分たちで判断せずに、不動産会社の担当者を交えて引渡しの条件を確認する必要があります。
「原則として撤去する物」と「買主と合意できれば残せる物」を区分けして、整理の順番を決めます。
撤去が決まった不用品については、自治体のゴミ収集で出せる物か、専門業者の手配が必要な物かをリストアップし、早い段階で仕分けを終えておくと、やるべきことが整理され残りの片付けを余裕を持って進められます。
費用が出やすい物から手配する
処分の手配に時間と費用がかかる物から優先して着手するのが、整理をスムーズに進めるコツです。
特にタンスやソファなどの大型家具や、家電リサイクル法の対象となる家電(冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコン)は、一般ゴミとして出せないため先に段取りを取っておくのが無難です。
不用品回収業者に回収を依頼する場合、引っ越しシーズン(3月〜4月)などは予約が取りづらく、料金が高騰することもあります。
早めに複数社から相見積もりを取り、費用と作業範囲(搬出・分別・階段作業の有無など)をそろえて比較した上で手配します。
状態が良いブランド家具や製造年数の新しい家電は買取に出せる可能性もあるため、廃棄処分と並行してリサイクルショップへの査定も検討してみましょう。
期限を決めて段階的に進める残置物の撤去は、引渡し日の直前にまとめて行おうとすると、期限までに終わりません。
決済・引き渡し日から逆算して、余裕のあるスケジュールを組みます(※契約から引き渡しまでの期間は案件で異なります)。
「今月中に本棚の中身を空にする」「来週はキッチンの収納を整理する」のように、場所ごとに区切って少しずつ進めていきましょう。
一度にやろうとせず、帰省のタイミングや週末を利用してコツコツ進めるのがポイントで、自分で廃棄できる可燃ゴミや不燃ゴミは、地域の収集日に合わせてこまめに出し、家の中の不用品を少しずつ減らしていきましょう。
最終的に自分たちでは運べない大きな物だけを業者に依頼するようにすれば、処分費用を大幅に節約できます。
近隣トラブルを防ぐ3つのポイント
空き家の管理がおろそかになると、近隣住民からのクレームやトラブルに発展する恐れもあります。
近隣との関係が悪化すると、購入希望者が周辺環境を気にして、検討物件から除外してしまう要因にもなり得るため、売却活動を円滑に進めるために、特に配慮すべき3つのポイントを下記に並べてみました。
引渡し後のトラブルを避けるため、契約不適合責任の基本と記載ポイントを先に確認しておくと安心です。
契約不適合責任のトラブル回避術|物件状況確認書に書く不具合一覧
ポイント1
郵便受けがいっぱいだと、空き家だとわかりやすく、防犯上のリスクも高まります。
空き巣に狙われたり、放火のターゲットにされたりする危険性もあるため注意が必要です。
また、管理されていない敷地は不法投棄の標的にもなりやすく、投げ込まれたごみが、さらに不法投棄を呼ぶ悪循環になりやすくなります。
定期的に現地を訪れてポスト内のチラシや郵便物を回収し、人が管理している気配を出しておくのも良いでしょう。
転送届を出していても、チラシは投函され続けてしまうケースも多くあります。
敷地内の見回りを行い、ゴミが落ちていれば拾って清掃することで、空き家の雰囲気がなくなり印象も良くなります。
ポイント2
音とにおい庭木の枝が隣の敷地に越境したり、強風で雨戸や外装材が激しく音を立てたりすると、騒音や接触などによるトラブルの原因になります。
また、放置されたゴミや雑草が腐敗して悪臭を放つと、ご近所からの印象も良くありません。
浄化槽がある場合は、屋外に設置されているブロアーと言う機械の電源を切ると、浄化に必要な微生物が弱り、においが出ることがあります。
取扱説明や点検会社の案内に沿って、電源管理の方法を確認します。
定期的な手入れを行い、隣家へ迷惑がかかる前に枝の剪定や建物の補修を行うのがベターです。
特に夏場は草木の成長が早く、虫も湧きやすいため、こまめなチェックで管理できるとより売却時の印象も良くなります。
近隣から苦情が入ったり、建物や敷地の印象が悪くなる前に対処することが、物件のスムーズな売却にも繋がるはずです。
参照元候補:環境省「浄化槽の自己管理マニュアル」
ポイント3
不在時の対応遠方に住んでいるなど、売主自身がすぐに駆け付けられない場合は、緊急時の連絡体制を整えておくのもスムーズな物件管理を行う上での一つの方法です。
不動産会社の看板に管理者の連絡先を明記してもらうか、信頼できるご近所の方などがいるのであれば、連絡先を伝えておきましょう。
何かあった時にすぐに連絡が取れる状態にしておくことで、トラブルの拡大を防げます。
自身での管理が難しい場合は、専門の管理代行サービスを利用し、定期的な見回りと報告を受ける体制を作っておくととても便利です。
売却中の管理チェックリスト
売却期間が長期化すると、やるべきことが増えて管理作業の抜け漏れが起きやすくなります。
「いつ・何をすべきか」をリスト化し、ルーティンワークに落とし込むことで負担を減らしましょう。
頻度ごとに整理したチェックリストをまとめましたので、現地の状況に合わせて参考にしてください。
確認する項目
所有する物件が、ご自身の住居地から近い場合は良いのですが、離れている遠方の場合には、建物の劣化や防犯上のリスクを防ぐため、理想としては月に数回ほど現地を訪れて以下の作業を行うとよいでしょう。
| 作業項目 | 具体的な内容 | 目的・効果 |
|---|---|---|
| 換気(通風) | 全室の窓を開けて空気を入れ替える | 湿気を逃し、カビや結露を防ぐ |
| 通水 | すべての蛇口で水を流す | 排水口からの異臭・害虫侵入を防ぐ |
| 郵便物回収 | ポストのチラシや郵便物を回収する | 空き巣対策・防犯 |
| 室内点検 | 雨漏りのシミやカビを目視チェックする | 被害の早期発見 |
| 戸締まり | 帰宅時に全窓・玄関の施錠を確認する | 換気後の閉め忘れ・侵入防止 |
滞在時間は15分程度でも構いません。重要なのは「定期的に現地を確認する」ことです。
わずかな異変や劣化の兆候を早期に見つけることができれば、大規模な修繕が必要になる前に対処ができます。
こまめな管理の積み重ねが、結果として大きなトラブルを未然に防ぎ、建物の寿命を延ばすことにつながります。
月1で確認する項目
月に一度は建物の外と中の両方で、少し時間をかけて以下のポイントを確認してください。
| 確認箇所 | チェック内容 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 外回り | 基礎のひび割れ、外壁の汚れ | 建物の劣化状況や見栄え |
| 庭・雨どい | 庭木の越境、雨どいの落葉詰まり | 近隣トラブル・水漏れ防止 |
| 設備 | 照明・換気扇の動作、ブレーカー | 内覧時の不具合回避 |
| メーター | 水道メーターが回っていないか見る | 見えない場所の漏水チェック |
| 害虫・建具 | シロアリ、建具の建て付け | 建物の健全性確認 |
上記の内容を定期的にチェックしておけば、不具合を早期に発見でき、内覧前に余裕を持って対処できます。万全の状態で迎えられるため、購入希望者への印象も良くなります。
早めに着手する項目
引き渡し直前に慌てないよう、時間がかかる作業はあらかじめスケジュールを決めて着手します。特に外部への依頼が必要で時間がかかりやすい項目は、売却が決まる前から準備しておくとスムーズに進みます。
項目1
大型家具や家電の処分大型家具や家電の処分は、処分会社ごとの日程調整や搬出準備が必要になり、見積依頼から回収・廃棄までに数週間かかることも珍しくありません。
特に繁忙期(春先の引越しシーズンや年末)は予約が取りづらいため、引渡し直前になって慌てないよう、早めに手配を進めておくことが重要です。
項目2
専門会社への補修依頼クロスの大きな剥がれや給湯器の故障など、自分では直せない箇所は早めに特定し、不動産会社に共有し、補修が必要かどうかを設備会社・修理会社の見積で判断します。
管理会社への見積から工事完了までは意外と時間がかかるため、買い手が決まってから動くと引き渡し日に間に合わない恐れがあります。
不動産会社とも相談して「いつまでに手配を終えるか」という期限を決め、売却活動と並行して計画的に準備を進めていきましょう。
計画的な準備で納得のいく不動産売却を
売却中は、換気・通水・外回りの手入れ・郵便物回収を継続し、内覧での印象低下と近隣トラブルを避けることが大切です管理の手間はかかりますが、適切な管理が行き届いた物件は印象が良く、早期成約や好条件での売却につながりやすくなります。
ご自身ですべてを行うのが難しい場合は、無理をせず不動産会社の管理代行サービスなどを上手に活用してください。
まずは出来る範囲で計画を立て、大切な資産を次の住まい手へと引き継ぐ準備を整えましょう。
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